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最終更新日:2007/06/08
 
活動報告 No.2(2006/1/27)

指定管理者制度について

指定管理者制度、この余り耳なれない言葉にとまどいを感じる方も多いと思います。 幸い総務委員長として、この審議に深く係りましたので、その概要を説明させていただき、近い将来、地方の行政と住民の係り方を大きく変え、地域の活性化への展開をも可能にするこの制度に対して、共に理解を深めてまいりたいと考えます。

指定管理者制度は公の施設の管理運営を民間に開放するもので、いわゆる「官から民へ」事業を移管する流れに沿ったものです。 具体的には地方自治法の一部改正(平成15年9月2日)により、すべての公の施設の管理を平成18年9月までに直営制にするか、指定管理者制にするかが、地方行政に義務づけられました。

それを受けて朝来市では「朝来市公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例」、「公の施設の指定管理者制度を創出する地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備等に関する条例」が今回制定され、全面的に平成18年4月からこの制度が導入されることになります。

1. 制度の概要

指定管理者制度は公の施設の管理を民間等に移管し、利用者により多様で満足度の高いサービスの提供、民間の活力・ノウハウにより多様化する住民のニーズへの効果的な対応、自治体の財政負担の軽減を目指すものです

いままでの管理委託制度は自治体と管理受託者が法に基づき契約を結ぶというものでしたが、指定管理者制度は自治体が指定管理者を指定する行政処分を行ない、指定管理者が公の施設の管理を代行することになります。 その権限は条例によって使用許可権にまで及ぶ施設もあります。

市の条例では指定管理者は市長または教育委員会と協定を結び、協定には指定期間、事業計画、利用料金、事業報告、市が支払う管理費用、個人情報に関する事項などが含まれます。

指定業者は毎年度終了後に、管理業務の実施と利用状況、利用料金収入、管理経費の収支状況等の事業報告の提出が義務づけられます。

2. 管理経費から見た指定管理者制度

指定管理に要する経費は、

  1. 全額市からの委託料で賄う場合
  2. 全額利用料金で賄う場合
  3. 市からの委託料と利用料金で賄う場合

があります。

現在、朝来市で先行して指定管理者制が導入されている施設が5件ありますが、この内「黒川温泉」の施設や「ケアハウス竹原野(グループホーム)」は B. に属し、「あさごふれあいプール くじら」は C. に属しています。

これに対して、今後指定管理者制度が導入される各種集会場、コミュニティセンター、各種老人ホームや障害者活動施設など大多数は A. に属することになると考えられます。


あさごふれあいプール「くじら」

(注)利用料とは、施設の利用者が支払う金銭で、指定管理者の収入となるもの。使用料とは、施設の利用者あるいは指定管理者が支払う金銭で市の収入となるものを言います。

3. 指定管理者の選定と指定

指定管理者になり得るのは法人やその他の団体で、市の条例においては、その方法は原則として公募制をとっています。 しかし、施設の性格、機能等によっては公募制によらず、指定管理者を指定する方法も残しています。

選定は各施設を所管する部ごとに設置される指定管理者選定委員会(学識経験者と市長が必要と認める者8名以内)の審議で行われ、その結果、候補者が決定されます。 その候補者が議会の決議を経て、指定管理者に指定されることになります。

2. の B. 、C. に属する施設は主として公募が行われ、A. に属する施設は公募によらないと想定されます。 この際の指定管理者は、各区や運営委員会などと考えられます。 各種集会所やコミュニティセンターの管理は、今までの管理委託制度の場合と実質的には余り変化が無いかもしれませんが、指定を受け、管理を代行することに伴い、新たに法的な責任問題が生じる場合も想定しておく必要があると考えられます。

 

以上、指定管理者制度の概要と、条例制定に伴い朝来市も全面的に指定管理者制度が導入されようとしていることを述べてきました。

この制度は、いわゆる「官制市場」を民間に開放するという流れに沿ったものです。 この流れは、今後もいっそう押し進められようとしています。

現在でも、この制度は今回朝来市において適用される施設にとどまらず、他の施設にも適用を拡大することは可能です。 この方向で見ると、指定管理者制度は、単に資本力の大きい民間資本に公の施設の管理を委託するという点だけでなく、今までの地方の行政と住民との関係を根本的に変える要素を内包していると考えられます。 つまり、住民の団体、管理組合とか、運営委員会などが適当な施設の指定管理者となり、住民のニーズに合った質の高いサービスを提供する。 それは官ではなく、住民が住民にサービスを提供することです。 これは行政と住民の在り方を変えるものであり、このことが地域の活性化へとつながれば、指定管理者制度は単に市の行財政改革に止まらない意義を持つと考えられます

 
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