活動報告 No.4(2006/4/24)臨時・嘱託職員の雇用改革一時保留へ・・・ 臨時・嘱託職員の雇用の問題−経過と今後の課題
1. 合併前の取り組み
合併以前における臨時・嘱託職員の任用は、臨時的な任用でありながら毎年繰り返し任用される、また勤務時間の問題など地方公務員法上、適法性を欠く恐れがあった。
しかし、一方で行革により正規職員の採用が抑制され、多様化する行政事務が臨時・嘱託職員に肩代わりされる状況が全国的に見られた。
この打開策の一つが、人材派遣会社の活用である。
合併前、朝来郡臨時・嘱託職員処遇検討会は、愛知県高浜市、碧南市二市それぞれの100%出資の人材派遣会社に視察研修等を行なうなど、この問題を研究した。
そして、人材派遣会社に外部委託するには、計画から実施までの間に処理すべき事項が多数あり、短時間で適切に対応できないこと、地方公共団体としては、請負か労働者派遣か法的対応を十分に検討する必要があるとして、旧町時における人材派遣会社の設立は困難であり、新市において導入を検討すべきと結論づけている。
2. 合併時の経過
これを受けて、合併時には旧町長会で確認した以下の項目を方針として対応している。
- 新市組織における必要人数の採用
- 任用根拠は地公法3条3項(嘱託等の任用)、地公法22条(臨時任用)とし、期限の明確化
- 旧町の臨時・嘱託職員の身分を引き継ぐことを保証するのでなく、新市としての新規採用
- 16年度中に公募、選考、決定するなど任用の手続を専決例規に基づき適正に行なう
そして、新市で計画の検討、会社設立を進め、アウトソーシングするとしている。
3. 新市における経過
17年8月から助役をトップとする人材派遣会社設立準備プロジェクトチームが調査研究を行い、会社設立に係る複雑な事務手続と初年度の多額の設立経費の必要性、経営ノウハウの欠如等による安定経営への不安、市民の理解に対する疑問という理由により、市の100%出資による派遣会社の設立を断念し、既存の民間会社活用の決定を2月1日の総務常任委員会で発表した。
その後市当局は、臨時嘱託職員への説明会の開催、職員労働組合との交渉等を行ない、2月22日の総務常任委員会でこの問題の質疑が行なわれた。
そのとき、能見の民間派遣会社に関する質疑で、当局の言う人材派遣は業務委託であることがやっと明らかになった。
その後、同日午後の全員協議会で、助役からこの件が全議員に報告された。
更に、議会での一般質問、予算委員会の質疑等では、臨時嘱託職員255名中199名を人材派遣会社の雇用に切り換えると述べていた。
しかし、能見等の予算委員会における業務委託に伴う法的な問題点の指摘、加えて県労働局の意見も聞き、法的に問題のない35部署の121人の業務委託を検討したが、これについても4月1日からの実施を、市民に影響を出さないため保留すると3月27日の総務委員会で市長が表明した。
4. 今後の課題
ほとんど全員の臨時嘱託職員の方たちは、17年度と同じ職場での勤務となったわけですが、今後行財政改革を進めていく上で、定員適正化計画の検討、実行と併せて、この問題を避けることはできません。
当面、6ヶ月の保留期間において、業務委託するのに35部署がすべて適法性を持つかどうか(注)、若干の配置換えをすれば可能か、関係者の理解が得られるかどうか、行政責任や住民サービスの確保ができるか、情報管理で問題が生じないか、経費の節減につながるかどうかなど十分検討の上、実施されなければと考えます。
中長期的には、この雇用問題は法的に問題がある人材派遣会社への業務委託だけでなく、指定管理者制度なども利用して解決を図るべきものであると考えます。
注)
人材派遣法に基づく派遣では、派遣された労働者に対する指揮命令権は、労働者を受け入れた職場の上司にあるが、業務委託の場合は指揮命令権は派遣元にあり、受け入れた職場の上司は直接指揮命令できない。
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