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タカ目 イヌワシ
学名:Aquila chrysaetos japonica
英名:Japanese Golden Eagle
和名:日本イヌワシ
イヌワシは、北海道、本州、四国、九州の標高500〜1000mの山岳地に生息しています。
日本で繁殖するワシタカの仲間では最大、最強の鳥です。
体長80〜90cm、両翼を広げると2mに達します。
全身黒褐色の鳥で、後頭部は黄金色に見えるため、英名ではゴールデンイーグル(golden
eagle)と呼ばれています。
若鳥には翼と尾に白羽があり、成長するに従い黒くなり、約4年で成鳥となります。
現在確認されている生息数は約175ペアで、若い個体や単独の個体を合わせておよそ500羽程度です。
イヌワシは、やや開けた山地の草原や伐採地などで狩を行い、ノウサギ、ヤマドリ、ヘビなどが餌の7割を占め、タヌキ、キツネ、ニホンカモシカ、シカの幼獣、リス、テン、キジ、キジバトなどの中小動物も餌とすることが確認されていて、山地の森林生態系の頂点に位置しています。
一度つがいになると生涯連れ添うといわれ、山岳地帯にナワバリを作り一年中同じところで生活しています。
晩秋のころ、つがいの2羽で一緒によく飛び回り、上下に波状に飛ぶなど目立つ行動で周辺のつがいに対してナワバリを主張します。
隣のつがいのナワバリとは主要な尾根を境界としていて、大きな谷ごとに別のイヌワシのつがいがすんでいることが分かっています。
ナワバリの大きさは約20〜60平方kmです。
巣造りは12月から1月ころで、雪や雨が直接入らない岩棚にブナやミズナラ、ヒノキなどの枝を運び入れます。
巣の表面にはススキの葉やヒノキの葉など、やわらかい材料を用います。
産卵は2月で、2個の卵を4日前後の間をおいて産みます。
雌親が中心に卵を抱き、42〜45日で雛がかえります。
その後70日くらいで雛は成長し、6月に雛は巣立ちます。
餌条件があまりよくないわが国では、無事成長するのは1羽がほとんどです。
巣立った若鳥は親と一緒に生活し、飛び方や餌のとり方などを学び、秋には独り立ちできるようになります。
森林環境の変化や開発による生息環境の悪化などにより、近年イヌワシ・クマタカの繁殖成功率は全国的に低下傾向にあるため、将来における個体数の急激な減少が危惧されています。
ダム建設やリゾート開発などに際してイヌワシの生息環境への影響が問題になることがあり、環境省は1995年からイヌワシを対象とした希少野生動植物保護増殖事業を開始しています。 1993年に種の保存法により「国内希少野生動植物種」に指定され、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧
I B類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種)に指定されています。
兵庫県版レッドデータブック2003では、Aランク(9種)に指定されています。
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