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最終更新日:2009/07/15

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議会報告 No.27-2(2009/07/15)

朝来市議会 平成21年6月定例会一般質問
「朝来市の経済活性化について」質疑応答全文(1/4)

農業の振興と林業の活性化の具体策は?(1/2)

能 見(能見 勇八郎)

多次市長には、このたび市長就任心より改めてお祝い申し上げます。今後は、どうぞ健康に留意され、朝来市のリーダーとして御精励をお願いしたいと思います。

私は、朝来市の経済活性化についてということで質問させていただきます。

今回の補正予算で、地域活性化・経済危機対策交付金5億円余りを活用した19億1,500万円の第1次一般会計補正予算が提案されました。経済危機対策交付金が本当に市の経済活性化に役立つように配分されたかどうかというのが、私がこの提案をお聞きして感じた率直な感想です。と申しますのも財源不足のために今まで先送りされてきた事業、これを交付金を利用して前倒し実施しているだけではないのかというふうな、そういう思いがしたわけです。

昨日も少子化対策について同僚議員から質問がされていましたが、私は、この少子化対策というのは若者の定着を図るさまざまな支援、出産支援であったり、あるいは子育て支援であったり、住宅購入の補助等、これは当然必要なわけですけども、それだけでは十分ではなくて、やはり少子化対策には、真の対策には経済活性化が何よりも必要でないかと。そのことによって初めて若者が家庭を持つに十分な所得を得、そして安心して子育てができるという、そういう状況が作り出されるというふうに思っています。
  このことを、やはり朝来市でできないというようなことがあれば、市長も所信表明演説で述べられていますが、兵庫県の人口予測のことが現実になり、今後、朝来市が立ち行かなくなるということも生じるのでないか。もっと大きく見れば、日本は地方から瓦解し、この国土が悲惨な状況になるのではないかと、そういった危惧を抱いています。この意味で地方の振興というのは本市だけのことではないと思いますけれども、まず我々朝来市に住んでいるのであり、このまちの活性化、これが何よりも大切だというふうに考えます。

そういう観点から次の諸点をお尋ねしようと思うわけです。

まず第1に、朝来市の主たる産業は、その就業人口を見れば何と言っても農業であるということは言を待たないと思います。しかし、現在農業は高齢者に支えられ、何とか耕作がなされてるという状況で、趣味で農業するかというぐらい収益性が低いという状況にあるのは皆さんご存知のことです。そしてそういう状況ですから、当然後継者も欠くといった状況になっております。
  政府・与党の方も食料自給率の問題、あるいは地球温暖化対策の問題等をてこにして農業改革に取り組もうとし、今般改正農業基本法が策定されたという状況です。朝来市においても、やはり農業の問題というのは今後一番大事な問題になるのでないかというふうに考えます。
  また、先ほど上谷議員の質問の中にもありましたけれども、朝来市の84%という広大な山林が朝来市にはあるわけです。この山林は、当然林業がそこに基幹産業として成り立つべきものなんですけども、現在はとても産業と言えない。そういった状況で、全くの壊滅状態と言うにふさわしい状態であり、林業、農業、どちらをとっても若い人がこの業種に就こうとしないというのは当然といったような状況が続いていると思います。

そこで市長にお尋ねするわけですけれども、市長の所信表明の中に特産物や有機農法の振興、農林経営の支援とあるわけですけども、具体的にどういう方針で農業の振興を図り、林業を活性化させようとされているかを、まず伺いたいと思います。


市 長(多次 勝昭君)

それでは、能見勇八郎議員の一般質問にお答えをさせていただきます。

冒頭健康に留意して頑張れと、こういうことでございますし、シッカリと健康には気を使いながら対処してまいりたいというふうに思います。
  今、能見議員の方から経済活性化に伴います本当に御高見を拝聴して、今後におきましても一層御指導賜りたいなと、こう思った次第でございます。よろしくお願いを申し上げたい。
  わけても市の今回の補正予算に対します問題についての感想もお述べいただきました。このあたりについてのまた御指導も賜れればうれしいなと、このように思っておりますので、またいずれお話なしさせていただく機会もほしいなと、こう思ったりもいたしております。

そこで、所信表明の中の特産物や有機農法の振興、農林業経営の支援とあるが、これの具体策についてということでございます。若干時間をいただきまして、ご報告申し上げたいというふうに思います。

近年全国的に農産物の価格の低減や農業者の高齢化、担い手不足に伴います農地の荒廃が進み、大きな社会問題となってございます。

このような中、本市では、合併以来有機堆肥によります自然に優しい環境保全型農業を推進し、農薬や化学肥料の削減を基本とし、低農薬・有機栽培で安全・安心な農作物づくりを推進し、朝来市の産業基盤であります農業の活性化を目指し取りくんでいるところでございます。
  本年度も市単独の補助金を活用しまして、中山間地域等直接支払い事業や農地・水・環境保全事業とも連携しながら畜産排泄物や籾殻等を堆肥処理した堆肥によります土づくりを支援し、自然に優しい環境保全型農業に取り組み、市内全域で有機農法によります農産物づくりを展開しているところでございます。こうして栽培しました本市の農作物は、朝来ブランドとして付加価値を高め、積極的にPRし、地域社会の連携をもとに地産地消活動を展開し、地域内自給率の向上はもとより、全国へと流通拡大を図らなければならないというふうに考えております。
  また、本市の土づくり事業をもとに兵庫県が進めます「ひょうご安心ブランド認証制度」や朝来市独自のブランド基準を設けるなど、制度を活用しまして市内初め全国市場に朝来市の農作物の安全性を積極的にPRし、消費の拡大に努めてまいりたいと、このように思っております。

具体的な取り組みといたしましては、産地確立交付金と朝来市単独補助金を有効に活用いたしまして、特産岩津葱、黒大豆、ピーマンの生産農家を支援し、産地拡大に取り組んでいるところでございますが、さらに今年度からはコウノトリ育む農法によりますコシヒカリを市内全域に拡大するための栽培農家を支援をしてまいります。その上コウノトリの知名度を有効に活用し、付加価値の高い米づくりで農家所得と生産意欲を向上させることによりまして、認定農家や中核農家を育成したいというふうに考えております。
  また、現在取り組んでおります中山間地域等直接支払い事業や農地・水・環境保全事業では、関係者や地域が一体となって獣害対策や農地管理などの共同活用に積極的に取り組んでいただいていることから、集落営農組織の育成に向けた誘導を行っているところでございます。
  しかしながら、耕作不利な農地は認定農家や営農組織への農地集積が難しいため、今後は家族経営農家や農家同士の共同活動によりまして、サラリーマンの給料や年金所得に加えまして副収入が得られるような小規模営農組織の育成に努めなければならないというふうに考えております。
  一方、市内全域では、獣害によります被害が増大しておりまして、今年度も獣害柵の設置事業や捕獲の檻、銃器によります駆除等の事業を行いまして、地域と一体となった被害防止に取り組んでまいります。

次に、農業振興と地域の活性化につきましては、全国的には産地間競争や輸入農産物によります国産農産物の価格が低減し、国内農家は非常に厳しい状況にございますが、そんな中にありましてトキ、メダカ、ゲンゴロウなどの生き物の育てる農法によります生き物ブランド米や地域特色を活かした取り組みで地域産業を活性化している地域が存在しておりますことから、本市におきましてもブランド力のあるコウノトリ育む農法によりますコシヒカリや岩津葱、黒大豆、ピーマンと土づくり事業に伴います有機農法で、朝来市の農産物の売上高の拡大に取り組んでまいりたい。
  また、但馬は全国に誇れるブランド、但馬牛の産地であり、但馬地域の関係機関が連携いたしまして但馬牛の産地復活に努めなければならないというふうに考えております。
  そして、これらブランド農作物を核にいたしまして、地産地消活動を住民運動として展開し、道の駅や民間直売所によります地元農作物の直接販売の拡大やインターネットなど情報システムを活用し、地域内流通を拡大し、朝来市の自給率の向上とともに市内の観光業者や食品関連業者と連携いたしまして、地域経済の活性化に努めてまいりたいというふうに思っております。
  一方で、本市の農作物の安全性と信頼性をもとに特産物イベントやアンテナショップの出店など、近隣都市へ積極的に流通を働きかけ、農産物の販売あるいは販路拡大に努め、農業振興を図ってまいりたいというふうに思っております。

次に、林業の活性化についてでございますけども、林業が停滞する原因といたしましては、木材の市場価格から伐採や搬出等の生産経費を差し引いた山元立木価格が安価で山林所有者にお金が残らないこと、木材需要の低迷が上げられます。
  朝来市の森林面積は3万3,798ヘクタール、その内民有林面積が3万3,185ヘクタールございまして、市内森林面積の98.1%を占めてございます。民有林の人工林は面積2万1,790ヘクタール、この内46年生以上の人工林は44.6%と成熟化が進んでおります。
  しかし、民有林には小規模で零細な個人所有が多くございまして、計画的、安定的な木材の搬出ができず、林業経営が成り立たなくなっている現状がございます。将来にわたりまして継続的な木材生産を行うために、小規模な森林所有者の森林の集約、低コストで素材生産が可能なシステムづくりが課題であろうというふうに思っております。所有者の理解、協力を得る中で低コスト経営団地を設置し、間伐等の施業の集約と高密度の林内路網の整備によります高性能機械を活用した低コスト林業へと導く必要があるというふうに考えております。
  さら市場におきます需要の拡大には、木造住宅等の木材利用の促進対策が不可欠でございます。兵庫県が県産木材の利用促進を図るため「ひょうごの木質化作戦」を展開しております。個人住宅を木造住宅で建築する場合、また木質化にリフォームしたときなどに兵庫県と金融機関が協力いたしまして資金を融資する制度でございます。この制度をPRし、木材利用の促進に鋭意取り組んでいきたいというふうに考えております。

なお、林業の活性化には森林所有者の協同組合であります森林組合の果たす役割が非常に大きいものというふうに思います。森林組合は、森林整備の技術を持つ作業班を有しておりまして、地域における森林整備に欠かせない存在であります。現在市内には4森林組合があるわけでございますが、各森林組合の規模、経営方針によりまして各地域の森林整備度合いに差出てきている現状がございます。森林組合の経営基盤の強化、執行体制の整備と組織強化が林業の活性化につながるとの思いでございます。
  しかしながら、組合間での合併についての考え方に若干の温度差がありまして、早急な進捗が難しい状況下ではございますが、調整を図りながらこの合併に向けましても、シッカリと対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。以上でございます。

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