議会報告 No.16-5(2007/09/30)
市議会9月定例会一般質問
「市政を経営するという観点について」質疑応答全文(4/4)
受益と負担について、市民の理解を得るための取り組みは?
能 見
それで、次の質問ですが、全てを国に依存すれば良い、いわば国と地方の不明確な責任関係によるもたれ合いの状態から、国、地方の責任分担が明確になるにつれて、地方自治体は限られた資源や資金のもとで行政を経営することになると思います。そこで、行政サービスを受けるというその受益は当然多いほど良いにこしたことはありませんし、反対に負担は少ないほど良いというふうに考えられますけれども、行政サービスには当然コストがかかるということを誰もがここで理解し、納得しておかないといけないと、今までのように国の方から幾らでも補助金とかそういうのが有るというふうな状況ではないという、そういう時代になってるということです。
資金が無いなら、例えば基金を取り崩すというような議論がよく出されるわけですけども、或はすぐに地方債、というわけにはいきませんけど、いろいろやはり当然制限が有るわけですけども、それを発行してそういう行政サービスを行うというようなことを考えられるわけですけども、しかし、こういうことを容易に行うということは、やはり受益と負担という点から考えると問題が生じると思います。何を重視するかということは当然経営の視点です。いずれにおいても、受益というのは現在の住民だけを考えることはできないもの、というふうに考えられます。この受益と負担ということについて、十分市民の理解を得るような取り組みが今後必要でないかなというふうに思いますけれども、その辺りについて市長のお考えを伺いたいと思います。
市 長
能見議員おっしゃっていただいたこと大変重要なことでございまして、当然にしていろんな施策を推進をしていきますが、その具体的な事案が、受益が将来に及ぶもの、現時点で一時的に終わるもの、こういったもので多種多様でございますが、後年度に及ぶこの受益と負担の関係、こういったものは今お話ございましたように起債とか、そういったことで財政措置をしながら進めていくということでございます。この世代間の負担と、それから受益の問題、こういったことについても市民の皆さんに十分にやはり説明をし、理解をしていただきながらこれから進めていく必要があろうというふうに考えておる次第でございます。
新しいこれから公共団体の再生法制によりますと、ご案内のように実質赤字比率や連結実質赤字比率、実質公債比率、将来負担比率の4指標の公表というようなことが、平成20年から義務付けられておるところでございまして、特に実質公債比率等については3年間平均というふうなことでございますから、既に昨年から実質公債比率が公表をされ始めたというふうなことでございます。こういった数値によって全国ワースト10とかこういったことが公表されて、ある意味で世代間におきます負担比率の問題が公になっているわけでありまして、この辺りが妥当かどうか、この辺りを施策をそれぞれ打つ段階で十分に議論をしていく必要があるということでございます。
本市が、現段階、バランスシートなり行政コスト計算書等で一応試算をいたしておりますけれども公表できないというのは、全国一律に類似団体を含めて公表できない状況に現在あると、資料がそこまで集まらない。従って、朝来市のを発表しても、それが類似団体と比較してどの辺りにあるかという、そういう比較ができないというふうなことでございまして、そういう意味では世代間のこういう負担と受益の関係、こういったものもきちっと数値化されてまいるところでありまして、本市の今までの取り組みの状況がどうであったか、こんなことが容易に判断できるような資料、こういったことを一日も早く整えながら皆さんにお示しをしていき、皆さんの具体的な評価を得ながら行政の執行に努めていかなければいけないと、こういうふうに考えているような次第でございます。
能 見
先行するような自治体では、既に4表を作成して公表しているという所も有るわけですから、できるだけ早い機会にそういうのを公表するということはお願いしたいと思います。これは、今までの財政がフローだけのフローを中心にしたものだったわけですけども、ストックの問題が今後大きな問題として上がって来ると思いますので、その辺のところをやはり情報公開していくということにもつながりますので、ひとつそれは是非お願いしたいというふうに思います。
行政を経営する観点で実質公債比率が18%を超える問題をどう考えるか?
能 見
そこで、次の質問に移りますけれども、既に今、市長の方から4指標の話が出されましたけれども、昨年導入された財政指標で、今年度制定された地方公共団体の財政健全化に関する法律の4指標の一つの実質公債比率が、平成18年度の決算で算定基準が変わったということもありますけれども、18.2%というふうに発表されたというのは、一般質問等、その前からいろいろと取り沙汰されているわけですけれども、18年度の決算では実質収支は2億8,200万余りの黒字ということですけども、そこのまとめをもう少し見ますと、単年度収支ということでは1億3,800万円足らずの赤字であるということで、決して財政的には余裕が有るということではないというふうに思います。
昨日も出ていましたけれども、地方債残高が全体で531億9,000万円有るというふうな状況だという、こういう状況になってると。それで4指標については、まだその指標の判断基準等は出されていないわけですけれども、去年から有るこの実質公債比率については、18%を超えると公債費負担適正化計画を作成するということが要求されてると。それを作成するだけで良いのかどうか。やはり行政の経営において資金というのは重要なわけですが、それはいかに自由に使える資金を確保するかということ、そしてまた継続的にそれをどう確保していくかという問題だというふうに思うわけですけども。昨日の藤次議員の一般質問で、地方債残高の平成18年度10月末における論理値を元とした推計では、それは低減していくということが述べられたわけですけれども、そういう意味で総合計画の実施計画へは影響が無いということになるかもしれませんが、それだけでなく、行政を経営していくという観点でこの問題をどう考えるかということを市長にお聞きしたいと思います。
市 長
結論から申し上げまして、公債費の負担適正化計画につきましては、国、県から求められていますが、今後7年間で今ご指摘の実質公債比率が18%を下回る財政計画である場合は、実施計画等への影響は無いというふうに考えておりまして、また現在、国、県からの指導等も無いということでございます。この朝来市の実質公債比率が18.2%となったことが、平成18年度決算資料や新聞で報道があったことから驚かれたようでございますけれども、昨年の10月に第1次総合計画に基づきます実施計画の裏付となります5年間財政計画をお示しをしておりますが、その決算見込みの段階で朝来市の平成18年度実質公債比率が18%を若干上回る状況になっていることは予測をしておりまして、そのため県等とも事前に協議をしながら総合計画等の裏付となります財政計画や公債費負担適正化計画の作成に努めてきたところでございます。
現在作成をし、県に協議中の公債費負担適正化計画では、今後7年間で確実に実質公債比率が18%を下回る、こういうことでございまして、現在策定をしております実施計画、総合計画そのものについて大きく変更は無いものというふうに考えておるところでございます。今後は、これらの総合計画、また財政計画に基づきまして着実に進めるためには、全般的に総合計画の中でうたいます行財政改革等一連のことを着実に推進していくことによって、健全な財政、こういったことが確保できていくんではないかと、こういうふうに考えておるような次第でございまして、現段階18.2%ということ、更に向う7年で必ず18%以下に低減をしていくということでありますから、今後数年間は、この実質公債費率は18.2%より悪化をしながら進んでいく、7年後18%以下に絞り込んでいくという、そういう財政計画で進めておるような次第でございますので、この辺についてはきちっと織り込み済みで進めさせていただこう、こういうふうに考えておるような次第でございます。
能 見
総合計画をやるために財政計画を作って、そこに載ってる限りでは問題は無いというふうには思いますけれども、財政計画にある維持補修費、これは見積られているわけですけども、実際にいろんな資産といいますか、下水道とか橋梁とかそういった物の耐用年数の問題が有り、やはり更新というような問題が今後起こってくると。これは総合計画のそういう財政計画等には載っていないというふうに思います。そういったものについてどれぐらい費用が今後必要かというふうなことを考える上でも、バランスシート等を含めたそういうストックの資料が、やはり重要になってくると思いますので、是非その辺の整理をしたものを早く発表できるようにしていただきたいというふうに思います。それは要請だけしまして、次の質問へ移らせていただきます。
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