>議会報告トップページ >議会報告No.21-6 >過去の記事索引
最終更新日:2008/10/05

前のページへ< 1 2 3 4 5 6
 
議会報告 No.21-6(2008/10/05)

朝来市議会第22回(平成20年9月)定例会一般質問
「水利権と文化的景観の指定について」質疑応答全文(5/5)

文化的景観の指定等推進について

能 見

次に、二番目の文化的景観指定推進等についてお尋ねします。

本定例会に提出された平成20年度の一般会計補正予算に、生野鉱山文化的景観調査として、少額ですが、340万円が計上されています。これは平成19年度に策定された生野鉱山群近代化遺産保存活用基本計画に基づいて、文化財保護法に規定されている重要文化的景観の指定に向けた取り組みの第一歩だと考えますが、これは過去に、今まで旧生野町を中心にして、旧朝来町、大屋町と共に取り組んできた産業遺産の保存活用を更に前に進めていくものと考えております。そこで、旧町時代からの取り組みと現状について、教育長にお尋ねします。

教育長

生野鉱山の近代化遺産、そういったものに対する過去からの取り組みは、合併前から、旧生野町時代からこの鉱山を中心とする産業遺産並びにそういった文化的景観についての維持、保存の取り組みが続けられてきましが、最近朝来市におきましても、我が国の貨幣鉱山のモデルとなった生野鉱山の近代化遺産群とか、それらを含めた文化的景観などは、昨年選定された経済産業省の近代化産業遺産群33の一つに選ばれ、また文化庁の採掘、製造、流通、往来及び居住に関する文化的景観の保護に関する調査研究という分野の中でも重要地域66件の一つとして選定されるなど、全国的にも高い評価を得ています。

昨年盛大に開催された生野銀山開鉱1200年事業などを契機として、この生野鉱山及びそれの関連する歴史分化遺産を総合的に捉えて、国、県の重要文化財の指定とか、重要文化的景観の選定を視野に適切な保護措置を進めて、近代化遺産を活かした町づくりを推進するために、朝来市として近代化遺産の保存活用基本方針を策定して、本年3月に発表しました。

また、これまでの調査研究の成果を朝来市の近代化遺産調査報告書としてまとめたほか、重要文化的景観の保護推進に向けてのシンポジウムを開催したり、朝来市のアーカイブ構想に基づく記録映像DVD「生野鉱山」を制作するなど、市民の皆様への普及啓発を進めています。生野鉱山におきます重要文化的景観の選定によって、修理、修景や復旧、防災等の事業に対して経費補助を受けることができるほか、朝来市の魅力ある景観形成や地域活性化、鉱山町の地域資源を活かした観光交流などにも大きな効果が期待されるものです。

朝来市では、これまで文化協議などの事前準備を進めており、本9月補正予算にも計上したとおり、今後は教育委員会において国県の補助金を受けて調査研究、普及啓発活動を進めながら、保存計画や所有者の同意を得ていくと共に、都市整備部においては景観計画の策定や景観委任条例の制定作業を進めていくなど、庁内で積極的に連携しながら、作業を進めていくことになっています。

以上、ご報告とさせて頂きます。

能 見

そこで、この生野鉱山群の近代化遺産保存活用基本計画の展開について、もう少しお尋ねします。

今度は市長にお尋ねしますが、今まで県の「銀の馬車道」とか「鉱石の道」とか、いろんな計画がありますが、そういった計画の中に、この新しい重要文化的景観へ向けた取り組みをどう位置付けていくかという問題があると思います。この重要文化的景観とは、文化財法によれば国宝とか特別史跡とかと同レベルの、非常に大きなものだと思いますので、そこに向けた取り組みが、今までのこういう様々の企画或はプロジェクトとどう調整してそこへ持って行くのか、ということについてお尋ねします。

市 長

旧町時代からそれぞれの鉱山地を結ぶそれぞれの遺産群等について、種々の調査研究活動が続けられてきて、これらを通して、生野鉱山群近代化遺産保存活用方針について、第1次朝来市総合計画の基本方針や施策内容などをベースとして、関連する地域再生計画や朝来市街なみ環境整備事業計画、そしてまちづくり交付金事業計画など、既存計画と整合性を図りながらまとめたものです。同時に3月にまとめた朝来市の近代化遺産調査報告書によって、朝来市における近代化遺産の価値を明かにしていくことから、これらの価値を将来に引き継ぎながら活用していくいように、十分に配慮をしていきます。

更に、今後の事業展開に当りましても、関連する諸計画との整合性を図りながら事業を進めていくほか、国道429号線道路改良事業など、国県事業の推進においても朝来市の保存活用方針に対して理解を求めていく、このことを中心にして生野の町を整備していこうという考え方ですので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

能 見

現在いろんな取り組みがされていて、その中で、この景観形成をやはり最重点に置いていろんな計画がされないと、本来的な意味がないと思いますので、活用基本方針がそれに向けて作られているわけです。これを見ますと、計画は年次計画になっていて、10年計画として平成20年から29年の計画で、短期が概ね3ヵ年で、そこにまちづくり交付金とか街並み環境整備事業による地域整備推進、或は行政、企業、市民などの連帯、協力の確立、それから近代化遺産や文化的景観に関する調査、地域観光資源との連携による観光、交流の促進、全国的なネットワークの形成というのが短期的なものとして入れられており、そして5ヵ年計画、中期的な事業としては、国文化財や文化的景観の指定、選定等の促進、それから保存事業の推進、市民による保存活用組織の設置、街なみ環境事業による地域整備の促進。そして長期で、10ヵ年として、ネットワーク型のオープンエアミュージアム、地域まるごと博物館の形成、継続的な施設等の維持、補修と、非常に長期に渡り大きな目標として挙げられています。これらについて、やはりそういう事業を形成し、実行していく上には、かなりの役所としての体制、ハードの方の体制も要ると思います。

ソフトの方の一つの体制としては、8月末にNPO法人いくのライブミュージアムが形成され、旧生野町の中で毎年、ほとんど毎月何かイベントがあるという、ある意味でばらばらになっているようなのをコーディネートして調整していく。そういう機能を持った活動をしようということで、民間の方ではそういうものができている。それに対して、やはり役所としても、市としても現在いろんな事業等がありますが、これが或は教育委員会の社会教育課であるとか、或は都市整備部の都市開発課とか、企画政策課とか、生野支所とか、いろんな所で行われているという状況になっている。やはりこういう基本方針に従がってこれをやり上げていくためには、朝来市としての体制、これを構築する必要があると思います。

財政的に非常に厳しい状況に朝来市があるのは事実ですが、只、これも時期の問題で、今の時期を逃すと、そういう重要文化的景観への取り組みは、また困難になっていくものですから、やはり現在の時期においてその方向に向かっていくには、基本方針の中にも一部出ていますが、やはり体制を作る必要があるだろうと。課を設置するとか室にするとか、本当にそこを中心に動くような、そういう組織を設置していくことが必要だと考えますが、市長はどうお考えになっているか、お尋ねします。

市 長

保存活用体制の問題ですが、これについては、基本的に今の行政の仕事の割り振りが縦割りになっており、要は文部科学省、文化庁、それから国土交通省、経済産業省、これらの受け皿が別途にいろんな事業を計画し、推進するということです。従がって、中間の兵庫県においても文化財室、またそのほかの県土整備部とか県民局とか、いろんな部門が縦割りでずっと仕事を進めていくという状況になっておりまして、縦割りの問題点がある意味で結果的に、いろんな制度を取り込んで整備したそのものの効果を減退させるような結果に往々にして成り勝ちであるという、こういう御指摘であろうと思いますが、これらにつきましては、当然にやはり大変財政状況厳しい状況下であります。一度投資をするに際しては、本当に相当真剣に将来の効果も十分に測りながら、効率的な、効果的な投資をしていく必要があると。

そういう意味では、今ご指摘頂きますように、係わります総ての部門が英知を集めて、集中をして、無駄を排除してやはり整備をしていくということが必要で、庁内的にはそういう総合的な体制をやっぱり整備していく必要があろうと。その中核になるのはやはり生野支所であり、それらに関連する専門的な部門をそこに糾合しながら整備をしていく必要があろうと思っておりますし、何よりも増して、ある程度予算的に措置をすればハードの整備は、これは進捗します。しかし、問題はその結果できた生野の町をどう上手くPRし、運営をしていくかという、このソフトの部門でありまして、これについては先程お話ありましたように、8月の30日でしたか、NPO法人いくのライブミュージアムが設立され、生野ひいき人倶楽部、また町並みをつくる会とか、いろんなグループがありますが、それらの総元締としてのいくのライブミュージアムが設置されて、多くの市民参加のもとでこのソフト部門を充実して、どう生野をつくり上げていくか、この体制ができつつありますので、行政と大いに連携をしながら、全般的に十分に配慮をしながら進めていく必要があろうと考えております。

また、当然石見銀山が世界遺産に登録されたように、現在もこういう鉱山施設とか、そういったものが非常に世間の注目を集め、多くの国民がそういう近代化遺産群に対する関心を高めているという、そういう時代の流れもありますので、同系の佐渡金山とか別子銅山とか、そのほか、石見も含めて、こういった所との十分な意見交換、連携をしながら、日本全体としての産業遺産の保存活用、こういうふうな視点も十分に持ちながら進めていく必要があろうと。そのための受け皿として、しっかりとしたものをつくる必要があるというご指摘、十分に承知をしながら進めていきたいと考えます。

 
前のページへ< 1 2 3 4 5 6
 
>上へ戻る
>議会報告トップページへ
 

Copyright(C) NOUMI YUUHACHIROU | All Rights Reserved 無断転載禁止 | Produce by K-TEHC